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2016年の「新語・流行語大賞」「神ってる」だったそうです。
毎年のことながらピンときませんが、野球ファンの間では流行っていたのでしょうか。

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トップテンを見ますと、「聖地巡礼」、「トランプ現象」、「ゲス不倫」、「マイナス金利」、「盛り土」(もりど、と読むのでしょう)、「保育園落ちた日本死ね」、「ポケモンGO」、「(僕の)アモーレ」、「PPAP」と並んでいます。

「トランプ現象」については、去る11月29日に発表された「大辞泉が選ぶ新語大賞2016」の大賞に「トランプショック」が選ばれたという発表もありました。
今年から始まった同企画の趣旨は「現在辞書に載っていない、しかし後世に残すべく辞書に載せたい“新しい言葉”を公募し、『大辞泉』デジタル版や、ポータルサイトの公式辞書サイトに常設掲載する」こと。既存の流行語大賞などには飽き足らず、将来にわたり残るような新語を一般から広く集めよう、という試みのようです。

小学館〈大辞泉〉に対し、同様のテーマの企画「今年の新語」を、既に昨年から展開している先達が三省堂です。
こちらは9月から募集を開始し11月いっぱいで締め切られました。

公式発表によると、応募されたことばの数はのべ2834語。異なり語数、つまり重複などを整理した実質の数では、1182語だそうです。
「新語・流行語大賞」や「〈大辞泉〉が選ぶ新語大賞」と同様、こちらもトップテンが選考され、12月3日に伊集院光氏を呼んで発表会を執り行うとのこと。

今回は、この三省堂「今年の新語」トップテンの予想に挑んでゆきます。


「今年の新語」はツイッターのハッシュタグ#今年の新語2016と、ウェブ上のフォームの両面から募集をしていました。
私はこのうちツイッター上での応募投稿をすべて記録しており、独自に集計しています(ここは笑うところです)

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こんな風にまとめています。
取りこぼしがないものとすると(実際にはたぶんある)、ツイッター上の応募総数は1163語
異なり語数は算出方法によって変わってしまうと思いますが、私の判断では700語強となっています。

流行語大賞に輝いた「神ってる」は、「今年の新語」においても、私の観測したところツイッター上で20件以上の投稿が行われています。
他にも「PPAP」をはじめ、上の画像にも見えるように週刊文春及び同誌がすっぱ抜いたタレントの不倫関連のことば、豊洲市場関係のことば、トランプ新大統領関係、もちろん「アモーレ」なども、多数の投稿を集めているようです。

しかし、これらのことばが「今年の新語」に選ばれることはないと私は睨んでいます。


そもそも「今年の新語」企画とは、何か?

最近毎回飯間先生のツイートを引用してる気がするんですが、便利なので今回もそうします。

上記ツイートの画像や、三省堂の企画ページにある通り、「2016年を代表することば」かつ「今後の辞書に掲載されてもおかしくないことば」を集めて表彰しようというのが、企画の趣旨です。
ポイントは後者で、今年限りの一過性のことばは主眼としていない点が特徴と言えます。


「今年の新語」トップテンがどのように選ばれているのか、昨年の結果を振り返ってもう少し分析してみましょう。

「今年の新語2015」は、「じわる」が大賞を受賞しました。

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(「今年の新語2015」選考結果発表ページより)

ページ後半の「「辞書に載りそう?!」なことばが集まった」と題された選評を読んでみると、いくつか条件を読み取ることができそうです。

選考基準としても、ことばの定着の見込みについては重視しました。また、使用域が一定の広さを持つことも必要条件としました。さらに、外来語ばかり、俗語ばかりランクインするといったことがないよう、語種や語の性質のバランスにも配慮しました。

まずはこちら。
「将来にわたり定着するか」「多くの人に使われているか」が最重要基準として挙げられています。「辞書に載りそうなことば」を求める企画としてはしごく真っ当であり、当然の基準でありましょう。
同時に、「トップテンの中でことばの種類が偏らないようにする」という計らいをほどこした、とも説明されています。こちらはランキングとしての面白さを考えた、いわば商売上の事情と言えます。

大賞「じわる」の選定に当たっては「「Googleトレンド」でも今年から検索件数がぐんと伸びています」とあり、Googleトレンドの推移を参考にしたことが窺えます。
Googleトレンドは、あくまでもその時点でことばが「検索されている」量を測るものであり、「使われている」量はわかりません。一方で、今や多くの人にとって、新奇なことばを見聞きした際に真っ先に頼るのがGoogle先生であることも事実です。国語辞書などもはや誰も引かないのです(断言)。新語においては、検索数の伸びはそのことばに初めて触れた人の増加を意味すると考えても、ある程度は差し支えないでしょう。

3位の「LGBT」の選定に関して、「このことばが今後いっそう普及することを期待して、3位としました」とコメントされています。
社会の多様性の増大、すなわちマイノリティにやさしい社会の実現は、達成されることが望ましいと言えます。そうした社会の到来を予感させるひとつの指標として、「LGBT」のようなことばがどれだけ人口に膾炙しているかを取り上げるのは、悪くない考えです。したがって、上記コメントは「選考委員会は「LGBT」の普及を促進するべく、目立つ3位に入れた」と、このように読み取ることができます。
敢えて意地悪な言い方をするならば政治性の表れというわけですが、ともあれ、社会通念上あるべき方向性に沿ったことばは選ばれやすいと考えられます。

4位「インバウンド」、5位「ドローン」の入選については「ニュースではよく聞くのですが、人々の日常生活に深く関わることばかというと、必ずしもそうではありません。この点がやや足を引っ張りました」とあります。
テレビでよく言っているから、新聞にたくさん載っているから、というだけではだめ。ふつうの人がふだんの暮らしの中でよく使っているかどうかが重視されるということです。
ランキング外の「エンブレム」に関しても「今年非常に話題になったことばではありますが、応用範囲の点で疑問を残すため、あえて選外としました」とあります。オリンピックという範囲の中でどれだけ話題をさらっても、普段の生活で違った意味合いを持って使われるようにならなければ、「今年の新語」にはなれないわけですね。

選外となった「爆買い」は、「「爆」で強調する、以前からの語法のひとつで、新味も薄れます」。語の作り方が、既成語の延長線上にあるに過ぎない、と判断されると選ばれる可能性が低くなるようです。
なお、大賞「じわる」に対しては「「じわじわ」というオノマトペ(擬態語)に、動詞化する語尾「る」がついています。こういう作り方のことばは、探してみると、あるようでないものです」として丁寧な解説が与えられており、もちろん「大賞だから」という理由はあるにせよ、「爆買い」の扱いとは対照的な印象を受けます。


ここまででわかった事柄を一度整理しましょう。

「今年の新語」トップテンに選ばれることばは、確実に次の基準を満たさなくてはなりません。

  • 将来にわたり定着しそう
  • 多くの人に使われている

また、次の条件を満たすと、入選の確率が上がります。

  • 様々な文脈で応用することができる
  • Googleトレンドで検索数が伸びている
  • 社会通念上望ましい方向性に沿っている
  • 単に既存のことばの延長線上ではない
  • トップテンの中で種類が偏らない

さあ、材料は出揃いました。

ツイッターに投稿されたのべ1100を上回ることばの中に、2016年を代表する「今年の新語」たりえるものは、果たしてあるのでしょうか。

しかし長くなりましたので、予想の発表は明日に持ち越すことといたします。

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