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きょう10月16日はアメリカで「辞書の日」として制定されています。

これは、アメリカの辞書編纂者ノア・ウェブスター(1758-1843)の誕生日が10月16日であったことにちなむものです。

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ウェブスターには多くの業績があるようですけれども、ことばの観点からすると、「アメリカ英語のスペリング」の確立が真っ先にあがるでしょう。

彼が1806年に刊行した〈A Compendious Dictionary of the English Language〉、その後1807年から26年もの歳月をかけて編んだ〈An American Dictionary of the English Language〉には、当時「本家」イギリス英語から少しずつ離れて歩みを始めつつあったアメリカ独自の綴りが、ふんだんに採録されていました。

例えばイギリスでは「防衛」をdefenceと綴りますが、アメリカではdefenseに語尾が変わります。あるいはcentreとcenter、colourとcolorなど、様々なアメリカ流の綴り方があります。これらはウェブスターの辞書によって定着していきました。

アメリカにおける「国語」の確立という点においてウェブスターの成し遂げた意義は、〈言海〉と付録した『語法指南』によって大槻文彦が日本で達成したそれと比せられるべきものであり、極めて重大な影響を残しています。

また、〈言海〉の後書き『ことばのうみのおくがき』

米國の「ヱブスター」氏の英語辭書中の「オクタボ」といふ節略體のものに傚ふべしとなり。

とある通り、ウェブスターの辞書は大槻が〈言海〉を編むに当たって手本とされています。ウェブスターの存在は、日本の近代国語辞書史を語る上でも無視できません。

数少ない「綴り改革」の成功例であり、また1960年代に改訂版が引き起こした「辞書戦争」など、語る題材に事欠かないウェブスター。しかし、あいにくきょうは余裕がないので、またの機会に書ければと思います。

ちなみに、我が国には国語辞書の記念日なるものは制定されていないようです。大槻文彦の誕生日は12月22日。この日を「国語辞典の日」としてみるのはどうでしょうか。

 

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